先日、私の知り合いが約20年間勤めた会社を退職して、
転職するという報告がありました。
彼は40代半ば、二人の子どもがまだ成人していない中での大きな決断でした。
40代半ばというのは、キャリアにおいて大きな節目となる時期です。
経験やスキルを身につけてきた一方、
新しい環境や挑戦への耐性が弱くなるのがちょうどこの頃からだと思います。
それなりの肩書きや専門性を身につけている人も多い一方で、
60代まで今の延長線上の仕事で人生を歩むことを本当に望んでいるのだろうか。
そんな疑問を持つのだと思います。
退職と言えば、人はどんなときに働く意欲がそがれ、
会社を辞めようと思うのでしょうか。
結論から言えば、絶望感と不誠実を感じた時です。
話を聞いてくれる相手がいない。
評価が公正でない。
会社にチャレンジ精神がない。
経営者についていきたいと思う人格がない。
給与が増えない。
ブラックな環境。
などいろいろ原因があるでしょう。
周囲は会社への愚痴や不満ばかりでやる気がなかったり、
言われた仕事しかしていないような環境だと
仕事に対する価値を見出せなくなるでしょう。
現状を変えたいという声を聞く相手と、
現状を変えていく仕組みがないと、
改善を提案しても変わらないとあきらめていく社員もいます。
改善提案制度やサンキューカードなどの仕組みだけを入れても、
それを新しい取り組みに向けて活かしていかなければ意味がありません。
そこは、経営者の本気度が試されます。
結局は、経営者のリーダーシップに尽きます。
社会を変えたい、
新しいライフスタイルを社員といっしょにつくっていきたい
という強い志がないと、
組織は楽な方向へ流され硬直化していき、チャレンジ精神も育ちません。
もっと言えば、社長が自分の言葉で語りつづけなければいけないし、
世の中の見方を変える思考も持ち合わせていないと、
業界の横並び構造からは抜け出すことはできません。
組織の成長には、危機感と安心感が必要です。
ぬるま湯体質の組織は、現状維持で満足をしてしまいます。
敢えて難しいこと、厳しいことにチャレンジしないので、
時々組織を意識的に揺さぶり、危機感を醸成することも経営者には必要なことです。
同時に、社員が自分の仕事と居場所を与えられ、
給与や社会保険の保証をもらうことで、
安心を感じてもらうことも大切です。
縁あって共に働く社員を互いに支え合うことが、
適度な緊張感と温かい空気感を作ります。
つまり、社員間の信頼関係をベースにした
「心理的安全性」が必要になるのです。
また現実的な問題としては、
給与が増えないこともモチベーション低下の原因となります。
いくら経営者がすばらしく、
仕事にやりがいを感じていたとしても、
利益が出ないビジネスであれば、
社員は生活のために転職を考えるかもしれません。
利益は会社が社会に必要とされているかを見るための通信簿であり、
給与が増えることは社員も社会に役立つ意義を感じる一つの指標となります。
社長や上司とのコミュニケーションや評価が十分取れていなくても、
会社の利益が増え給与も増えていれば、
それは社会から必要とされる仕事だということを実感できるので、
モチベーションを維持できる人もいるでしょう。
仕事を通して実現する価値と
人生を通して実現する価値が全く重ならないと、
仕事を単なる義務や趣味を充実させるためのお金稼ぎと思うかもしれません。
残業が多く、休日も少ないなどの過酷な勤務状況だけでなく、
取引先にマージンを払って根回しをしてもらうとか、
談合をして仕事を分け与えてもらうといった
ブラックな環境もモチベーション低下につながります。
自分の仕事に自由やおもしろさを感じられなければ、
人は絶望していくのです。
あなたの会社の社員は絶望していませんか?
あなたは、社員に誠実に対応していますか?
Posted by 奥富 宏幸 at 12:46 | コーチング働く | この記事のURL | コメント (0) | トラックバック (0)
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