今回は私の価値観を変えた出来事の3回目である、「家業への転身」について少しお話ししますね。
ドイツでのプロジェクトを無事に終え、帰国してから数カ月間休暇を頂き、フィリピンでのボランティア活動に参加したり、自分の今後の生き方について考えていました。
「本当に何がしたいのか?」
この問いを何度も何度も自分に投げました。
それでも、納得できる答えは見つかりませんでした。
そんなある日、父から「お前は好きな事をして生きていくのか、俺の会社に入るのか、どうするんだ?」と聞かれました。その時は、あまり考えずに家業を兄と継いでいくということを答えたと思います。
もうだいぶ前からそうすることを決めていたのかもしれません。誰かの後押しを待っていたのかもしれません。
そして、家業に入りました。
当初は、今までのサラリーマン時代に得た経験や考え方を活かそうとしましたが、父や兄に理解してもらうことはできませんでした。
大企業と地元の中小企業とでは、仕事の進め方、顧客の特徴なども全然違うわけですから当然と言えば当然なんですが、入社した頃の私はとにかく「自分が得た知識や経験を活かしたい!」という想いが強かったのだと思います。
それが家業のためと信じていましたが、父や兄の立場を考えてのものなのか、会社のために本当に役に立つものだったのかは、微妙なところもあったのかなと、今になって思います。
家業というと多くの人が大変そう、というイメージを持っています。
私も父の姿を見ていてそう思っていました。いつも仕事の苦労話を聞いていました。
また、親が敷いたレールに乗った人生なんて嫌だ。もっと自分の力で道を切り拓いていきたいと思っていました。
でも、サラリーマンも経験して、家業に戻り気づいたことがあります。
それは、家業を経験したことがない人に家業の大変さも面白さも分からない、ということです。家業の後継者には、嫌いではないですが、継いだけれども、ものすごく好きではないという人が多いと思います。
ゼロから始めた創業者の親と違い、事業や社員、顧客基盤がある中で、後継者の人は「何」ができるのだろうと葛藤することもあるでしょう。私自身も入社して最初の3~4年はとても苦しい時間を過ごしました。
ただ、人生に満足感や充実感を得るには、「あなたが会社を通して何を大切にしながら、何を目指したいのか?」ということを見つけていくことだと思います。現在、お客さまに提供している商品・サービスはそのための手段でしかないとも言えます。
「あなたは仕事に何を求めていますか?」
「あなたの人生最大の冒険は何ですか?」
ビジネスと家族との境界線があいまいなところがファミリービジネスの強みにも弱みにもなるところですが、父親や家族との意見の相違は日常茶飯事です。
お互い言い分があるのですが、なかなかサラリーマン時代のように、相手を受け入れながらコミュニケーションするのが難しいこともあります。家族なので、時には情に流されて気を遣ったり、時には感情的になったりします。
それでも数年の月日が経ち、お互いの個性を認め合い、得意分野を活かしていけば、
今までにない力が出ることも経験してきました。理性ではなく、感情で仕事をしている父を見てきました。
組織には、似たようなバックグラウンド、能力、志向を持った人が集まる方が”まとまり”はいいかもしれません。
企業の規模が大きくなればなるほど、管理や効率化の面を考えれば一理あります。
自分も以前サラリーマンをしていた時は、同僚や上司と話が合うことにある種の安心感を覚えていました。
ただ、その安心感というのは、もしかしたら自分の想像の世界を広げる可能性を狭めていたのかもしれません。
自分と価値観や生き方が大きく違う人たちとコミュニケーションをとることが、自分の視野をずらしたり、広げたりするきっかけになるのだと思います。
「あなたが影響を受けた人は誰ですか?」
「その人は自分と意見の合う人ですか?意見が違う人ですか?」
企業に雇われる側から、社員を雇う側になって学んだこともあります。
以前は大企業で組織も部門化・専門化され、給料がもらえるのは当たり前、自分の業績に対する評価に意識が集中し、評価が過小であれば、上司や会社に対して不平不満を持っていたこともありました。
でも、今は、社員の雇用を守ること、社員の家族の生活を守ること、利益やサービスを社会に還元すること、企業を持続的に成長させること真剣に考えるようになりました。
経営側と社員とでは、立場と役割が違うので、経営や給料に対する考え方も一致することはありませんが、会社の業績と価値を伸ばし、社員に働きがいを持ってもらい、一人ひとりが少しでも前向きに、豊かな人生を送ることが出来ることにつながるために、自分に何ができるかを考えるようになりました。。
「個人と組織のパフォーマンスのバランスと最大化」が重要なテーマとなりました。
自分が会社を経営する立場になってはじめてこんな風に価値観が変わるのですね。
この超スピード社会において、刺激と安定を保ちながら、その組織が成長・発展していくには、多様な価値観と社員間の強固な信頼関係が、必要なのだと思います。
「水」と「油」、時には、「火」と「油」、時には、「火」と「水」、
そんな関係を持った人間から構成された組織の方が、強く、しなやかなで面白いものになると感じるようになりました。
小さな組織の方が、一人ひとりの個性を発揮しやすいのかなとも思います。
お互いが自分の本当の思いを大事にしつつ、違いを認め合って共存してくための道を探求していきたいと思います。
そして、家業をやりながら自分のライフワークを両立するために、コーチングが私の価値観をさらに大きく変えてくれました。
コーチングの話はまた改めてシェアしていきますね。
Posted by 奥富 宏幸 at 13:20 | 家業働く | この記事のURL | コメント (0) | トラックバック (0)
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